一戸町の旧朴舘家住宅で高屋敷神楽と中山神楽を鑑賞しました。この公演は、国の重要文化財にもなっている古民家で神楽を鑑賞できる年に一度の貴重な機会です。
神楽において権現舞は最後に舞われるのが一般的ですが、こちらでは神様をお迎えしてから舞を始めるという意味で最初に舞われます。気迫のこもった権現様、獅子あやしと権現様の絡み、そして名物の乗り権現、最初から見どころ盛りだくさんです。
中山神楽さんの「虎の口」。県北の神楽特有の演目で、今回は子供たちの舞でしたが本来は面をつけて激しく舞う荒舞です。
公演の合間には串餅が振る舞われます。おいしい、ありがたい……
この地域の神楽の三番叟は軽やかさというより激しさや重厚感があって、なんだか普段見慣れている三番叟とは全然違う演目のように感じます。特に高屋敷神楽さんのこの舞手さんめちゃめちゃかっこいい……
逆立ちして足で剣を持つという……こういうアクロバティックな演目が多いのも県北の神楽の面白いところだと思います。
こちらの山の神は、面を持って登場して舞台の上で付けるのが早池峰系神楽などとは違って特徴的です。
後半では再び直面になって舞が激しさを増していきます。
山伏神楽の重要な舞といえる山の神ですが、採物として法螺貝を持って舞うのは他では観たことがありません……この地域の神楽はほんとうに見どころが多い。
そして山の神では最後に幣束を茅葺屋根に刺すのですが、これは厄除けのお守りみたいな意味があるそうです。
そういえば鬼剣舞の三人加護で最後に幣束を投げるのも、本来は家の軒に刺すものだったと聞いたことがあります。現在こうして実際に見ることができるのはかなり貴重だと思います。
教育委員会の方のお話では、この茅葺屋根の改修のためあと何年か後には工事に入ることになるので、その間はここでの公演ができなくなるかもしれない、とのことでした。ここで観る神楽は会場の古民家の雰囲気もあって一層素晴らしく感じるので、チャンスがあるうちに行くことをおすすめします。例年6月に開催されています。