紫波町のオガールで開催された民俗芸能鑑賞会に行ってきました。
この鑑賞会は当初9月4日開催予定だったのが新型コロナ感染拡大を受けて延期し、約2か月後のこの日ようやく開催されたものです。ずっと待ちわびていました……
出演は山屋田植踊、平沢鹿踊、犬吠森念仏剣舞の3団体。この手のイベントで3団体というのは珍しく少なめですが、いずれも紫波が誇る精鋭たちという感じの素晴らしい芸能で、ひとつひとつをたっぷり楽しめる構成となっていて見応えありました。あと一定額以上の寄付金でもらえる紫波町芸能カードの出来がとても良くてほかの芸能のカードもつくってほしいなぁと思いました。
山屋田植踊
山屋田植踊さんは紫波を代表する芸能で人気も高く、例年ならあちこちの芸能祭に出演されているのですが、このコロナ禍でなかなか披露の機会がなかったためかなり久々でした。
最初に、五穀下しと種蒔き。
本当はここで餅を撒いたりするんですが……次の機会には諸々落ち着いて撒けるようになってるといいなぁ。
続いて仲踊りと早乙女。
たしか今回早乙女デビューの方がいらっしゃったというお話でしたが、私の目にはみなさんただただ素晴らしくて、どなたがそうだったのか全然わかりませんでした……
激しく美しい笠振り……眼福です。
そして最後は意外な演目、「万才」。小正月の踊り初めやミズバショウまつりといった長時間の公演で見ることはあっても、こういう公演ではかなりレアだと思います。
軽快なセリフ回しも表情もめちゃめちゃ素敵。
出番待ちのちいさなシシさんが外から覗いていてかわいかったです。万才で会場が温まったところですが、次は場所を外の広場に移します。
平沢鹿踊
さて芝生の広場で平沢鹿踊さんです。鹿踊はやっぱり外で観たいので嬉しいです。たださっきまで晴れていたのに雲行きが少し怪しくなってきたような……
悪疫退散の旗を掲げて一行がやってきます。伝承によると安永年間(1772〜1781)から祖霊供養はもとより悪疫退散の信仰とともに盆踊りとして踊られていたともいわれ、このご時世には大変ありがたいことです。
同じ紫波のシシでいうと宮手鹿踊とよく似ているけど、由来を調べると全然違うんですよね……とはいえ矢巾のシシを含めさすがに何か繋がりはあるんでしょう。
子どものシシたちのお顔がかわいい。これってもしかして子どもたちの自作でしょうか……表情がみんなちがってみんな良い。幕が唐草模様なのも面白い。
後ろに見えるのは本日参加できなかった2人のシシガシラ。一緒に踊れなくてもちゃんと見守っています。
シシだけでなく太鼓や笛も素晴らしい。
このあたりで小雨が降り出してしまい、芝生で観てた人も屋根下に避難しはじめましたが……シシと一八の絡みが見どころの牝鹿子狂いへ入ります。
鳴き声もかわいいので動画をご覧ください。
鹿踊が終わる頃には雨が上がり、日差しが出てきました。
犬吠森念仏剣舞
最後は犬吠森念仏剣舞のみなさんです。
実はお盆に犬草公民館で拝見させていただいたのですが、そのときは悪天候で大笠振りはできず……今回も危ないところでしたがなんとか晴れて良かったです。虹も出ていました。
この鉦やびんざさらの音が心地よくて大好きです。腰を低く落として打ち鳴らす姿もかっこいい。
剣舞といっても剣はないのですが、つぼけや唐団扇などを操る姿も魅力的。厳かさと華やかさが共にある感じが素敵です。
廻り胴も美しい。
そしていよいよ大笠振りです。
30kgほどあるというこの立派な大笠……水平を保つだけでもきっと大変ですが、カンナガラの開き方にまで気を配らなければならないので、相当な鍛錬が必要なんだと思います。
カンナガラに神経が通っているのかと思うほど美しい笠振り。ただただ感動……
というわけで紫波の芸能の魅力をたっぷり堪能できるイベントでした。この会場とても見やすくて良かったのでまた何かやってほしいですね。紫波にはまだまだ素敵な芸能がたくさんありますし……