旧暦4月8日に行われる鵜鳥神社の例大祭。今年は5月8日(日曜日)にあたり、神楽奉納も行われるという情報を得たので初めてお邪魔しました。
小高いところに設けられた立派な神楽殿。ここで神楽奉納が行われます。
そしてこちらもたいへん立派な遥拝殿。山門にもなっており、ここを抜けて30分ほど歩くと卯子酉山山頂の本殿に至ります。神楽の時間がよくわかりませんが、まだ始まる気配がないし、せっかくなので登ることにしました。
とはいえ神楽が始まる前に確実に戻りたいので、駆け上がるように山頂へ。この山はいわゆる義経北行伝説の残る面白そうな場所なのですが、そんな伝説に思いを馳せる時間もなくあっという間に本殿です。
伝説によると、義経はこの山で出会った金色の鵜を神鳥として海上安全や武運長久、諸願成就を祈り、山頂に卯子酉大明神を祀ったそうです。つぎに来たときは鳥たちのさえずりに耳を傾けながらゆっくり歩きたいな……と思いながら帰りも野鹿のごとく駆け下りました。
下山して数十分経った10時50分すぎ、お待ちかねの鵜鳥神楽さんの奉納が始まりました。
清祓
最初に演じられる清祓はその名のとおり神楽の場を祓い清める舞です。
鵜鳥神楽の清祓、多里先生の本とかにはスサノオノミコトの舞だと書いてあるのですが、言立を聞くとはっきりとイザナギノミコトって言ってますね……つまり黒森神楽と同じです。
それはさておき、桃の枝や刀などを持って力強く舞い、禍事や悪魔外道を祓ってくれるありがたい演目です。
岩長姫・日本武
続いて岩長姫と日本武です。この2つの演目は一応別々になっているのですが、スサノオに退治されたヤマタノオロチが岩長姫に姿を変えて現れた、という設定でストーリーがつながっています。
美しい女舞、からの禍々しい大蛇の登場。ヤマタノオロチと岩長姫の関係は他の神楽や歌舞伎などでも描かれますが、それぞれ設定が違っていたりして面白いです。
緊迫感があるというより面白おかしいバトルが繰り広げられます。岩長姫(大蛇)、途中でヤマトタケルをほったらかして客席に降臨したり、やりたい放題です。
ひとしきり暴れたところでOKサインをして戦場に復帰します。
退治される大蛇が面白すぎたので最後は動画で。
榊葉
続いて榊葉です。舞手は最初から面なしで登場します。
跳躍を繰り返したりする激しい一人舞です。
山の神
そして山の神。他の山伏神楽と同様に鵜鳥神楽でも特に重要で霊験あらたかな祈祷舞です。
この日は後ろの方で観ていたのですが、こちらにも飛んできそうなくらい勢いのある散米でした。ありがたや。
山の神の後は御花御礼をはさんで、次の演目へ。
恵比須舞
奉納も終盤に入り、恵比須様の登場です。大漁祈願や海上安全への願いが込められた、漁村の人々にとって大切な舞です。
釣り上げた帽子を(折烏帽子の上に)かぶってご満悦の恵比須様、かわいい。
お神酒をラッパ飲みする恵比須様。暑い日でしたので水分補給も大事ですね(?)
釣りを会場の子どもに任せて一息つく恵比須様。
最終的になぜか釣られる側になる恵比須様。それにしても鯛役のみなさんも名演で(関係者の方なんでしょうか?)、会場は大いに盛り上がりました。
鞍馬
最後の演目です。鞍馬といえば、鞍馬山での牛若丸と天狗の兵法くらべを題材として他の神楽でもみられる演目ですが、この鵜鳥神楽の鞍馬は牛若丸と弁慶の話となっているのですね。
他の演目もですが、今回の舞手は昨年保存会に入ったばかりのお二人のようで(たぶん)、練習や公演機会が限られる中でここまで舞えるのはすごいなと思いました。