田村神社(滝沢市)で篠木神楽さんの奉納を観てきました。
各地にある田村神社と同じく坂上田村麻呂を祭神としていますが、こちらでは現在7月第二日曜日を例祭日としており、例年篠木神楽が奉納されています。しかしこのコロナ禍で今回が久々の奉納となりました。
鳥舞
初めに子どもたちの鳥舞。親御さんたちも見守るなか立派な舞を披露してくれました。
続いて大人たちによる鳥舞です。ところでこの舞台の裏手に馬が飼われていて(写真左奥)、お囃子に反応してなのか時々駆け回ったりして可愛かったです。
熟練の舞に見入る子どもたちの姿も印象的。
見事に息の揃った美しい四人舞でした。
八幡舞
お次は八幡舞。二人舞としているところが一般的だと思いますが、こちらでは一人舞のようです。そういえば先日の川前神楽(篠木神楽から伝わった)もそうでした。
たぶん、舞だけでなく舎文も普段見慣れている神楽とはかなり違っていて、正直あまり聞き取れず……神楽の沼の深さを思い知った次第です。
で、ここの八幡舞の面白いなと思ったところ。舞の中では矢は射るポーズだけなのですが、最後に舞台の隅に行って突き刺します。
昔は実際屋根裏に射たのだそうです。一戸の高屋敷神楽さんが山の神で軒下に幣束を刺すのを見たことありますが、あれと同じように厄除けの意味があるのでしょう。
山神舞
続いて山神舞。こちらもやはり山伏神楽の山の神とは趣が異なりました。
激しさというより厳かさのある舞で、特徴的なのは舞いながら結ぶ様々な印相(12種類あるんだとか!)で、この両手の指を合わせているのは蓮華の手というらしいです。
30分以上にわたる舞でしたが変化に富み様々な発見のある演目で、終わった後の充足感がすごかったです。
注連切
注連切は、篠木神楽さんではたぶんレア演目だと思います。初めて拝見しました。
白い面と赤毛のザイが印象的な舞手。面の眼はよく見ると金色。吸い込まれそうな不思議な魅力のある佇まい。
後半では面を外してだんだんと激しい舞へ変化していきます。このあたりの舞は先程の山神舞と似ている気がしました。
最後に真っ二つに縄を切って舞い納めます。お見事!
獅子舞
そして最後の演目はやはり獅子舞です。篠木神楽といえばこれです!
ピーピー鳴いたり採物を次々呑み込んでいく権現様は円万寺系の神楽とか大乗神楽とかでも見られますが、こちら篠木神楽さんは人も丸呑みにしてしまいます。その様子は動画で↓
もちろん食べられてしまったわけでなく、これは胎内くぐりと同じように浄化、再生を表しているのでしょう。私も呑み込んでもらって立派な人間に生まれ変わりたい……なんて。
というわけで約3時間半にわたる篠木神楽さんの奉納、たいへん見応えありました。途中で地元の方(子供神楽の親御さん)に声をかけられ、市外から来たことを伝えると「わざわざ見にいらしたんですか!?」と驚かれましたが、いやこれは間違いなく、わざわざ見に来る価値がある貴重で素晴らしい神楽です。これからも続いていきますように……