10月上旬の3日間開催される岩手町秋まつり(沼宮内稲荷神社例大祭)。今回はその初日にお邪魔してきました。
初日は稲荷神社で神事の後、神輿や郷土芸能・風流山車がいわて沼宮内駅への約2kmを練り歩きます。
コロナ禍においても芸能奉納など一部は毎年行われていましたが、盛大に開催するのは3年ぶり。この日を待ちわびていたことがみなさんの様子から伝わってきます。
芸能団体は沼宮内七ツ踊りのみなさんを先頭に出発。七ツ踊りってどこでもだいたい先払い的な位置づけな気がします。
沼宮内駒踊りのみなさんが元気な掛け声とともに続きます。正式には「南部駒踊り」という名称みたいなのですが他と区別するために「沼宮内駒踊り」と呼ばれているようです。
神輿の後に五日市獅子踊りさんが続きます。丸みを帯びた独特のフォルムのお顔がとてもかわいい。頭の宝珠といい幕の梅紋といいシンプルで美しくて好きです。
渡御のとき獅子たちは踊らなかったのですが(時間短縮のため?)、この町並みのなかを歩いているだけでも絵になります。
五日市獅子踊りさんのカンナガラ、遠野のししに似ているようで違うような気がして(厚みが違うのか木が違うのかパリッとしてそう)、触ってみたかったのですが抜け落ちないようになっているようでした。
沼宮内七ツ踊りのみなさんは度々観客の前で踊りを披露していました。
一戸など県北の七ツ踊では杵を高く放り投げる杵舞を見せ場としているところが多いですが、こちらも同じような特徴があるようです。が、よく見たら杵以外の道具も投げている! これは珍しいかもしれません。
沼宮内駒踊りのみなさんは神輿渡御での踊り披露は無し。でも軽快なお囃子と掛け声が明るい気持ちにさせてくれます。かつて馬も行き交ったであろう旧奥州街道の町並みがこれまた良く似合います。
さて、渡御の行列が駅に到着しました。初日に訪れたのは初めてなのでこの後どうなるかよくわかりません。芸能団体のみなさんは休憩のようですが……
山車や清流太鼓のみなさんが通り過ぎると沿道の人々もすぐにいなくなって、先程までの賑わいはどこへやら、普段の静かな街のようになりました。でも少し待っていると……
芸能の門打ちが始まりました。見物人はほぼ私だけのような感じでしたが、むしろここからが本番といったところでしょうか。
神輿渡御では踊らなかった沼宮内駒踊りさんもやっとここで観ることができました。
お店の人たちが束の間仕事の手を止めて踊りを見守る姿、こういう風景もまた良いんですよね。
ここはローソンの駐車場です。コンビニ門打ちってまさに現代に生きる芸能を感じ取れてなんかグッと来ます。買い物に来ていた方々もしばし足を止めて見入っていました。
どこ行ったのかなと見失っていた五日市獅子踊りのみなさんも発見。やっと踊りを観れました。幕踊り系シシで、カシラはちょっと遠野っぽさもあるのですが、幕を掴んでいる手がよく見えるあたりは一戸のシシとかに似ている気がします。そして幕の中のチラリと覗く装束も素敵です。
このあたりから雨が降り始めて踊りが一時中断しましたが、すぐに装束や道具にビニールをかぶせて再開します。
強まる雨の中で粛々と続く門打ちに、なんだかこみ上げてくるものがありました。この風情ある上路旅館の前でみる獅子踊りがまた本当に良かった……
ここは出店が立ち並ぶ通りですが、平日なのと雨の影響もあってか人通りはまばらでした。翌日夜のパレードではたくさんの人で賑わうと思います。
まだまだ門打ちは続きそうですが私が観れたのはここまで。本格的に盛り上がる2日目以降も行きたかったですが、初日はなんというか待ちわびたまつりへの情熱を徐々に燃え上がらせるような雰囲気があってとても良かったです。