釜石まつり(曳き船まつり)

ずっと行きたかった釜石まつりにようやく行けました。釜石まつりは10月中旬の3日間行われる尾崎神社と釜石製鐡所山神社のお祭りですが、そのうち中日に行われた「曳き船まつり」(尾崎神社神輿海上渡御)の様子をお伝えします。

この曳き船は2019年は雨で中止、その後もコロナ禍で中止されたため、今回4年ぶりとなりました。

釜石港にて神輿が船に乗り込みます。尾崎神社の神輿といえば六角大神輿が有名ですが、今回私が見れたのはそれとは違うものでした。見逃したかな……?

神輿は沖にある奥宮で御神体が移されてから戻ってくるのですが、一緒に虎舞や太神楽もそれぞれの船に乗って湾内を巡ります。以下、芸能団体ごとに紹介します。

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錦町虎舞

錦町虎舞

錦町虎舞は釜石市浜町3丁目(錦町は旧町名)に伝わる虎舞です。が、個人的に虎よりも気になったのが……

錦町虎舞

こちらの方々。これ何だろう?? と思い帰ってから調べたのですが、錦町虎舞は団体として刺鳥舞、狐獲り、おかめ漫才、御祝、甚句など多彩な芸能を伝承していたのだそうです。現在それらは行われていないものの、まつりの日にはこうしてお披露目されるようです。

たぶん、手前のが刺鳥舞というやつだと思います。歴史を感じさせる面がかっこよすぎる。どんな芸能だったんだろう……

錦町虎舞
錦町虎舞

平田虎舞

平田虎舞, 平田青虎会

釜石市平田に伝わる虎舞で、伝承団体は平田青虎会です。詳しい由来は不明で、閉伊頼基が将兵の士気を鼓舞するために踊らせたのが始まりと言われたりもしていますが、尾崎町とか錦町の流れと考えるほうが自然なのかなと。沿岸部は閉伊頼基由来とされる芸能が多いですね。

平田虎舞, 平田青虎会

でも確かに士気高まるような勇壮な虎たちでありました。もしかしてご家族とかでしょうか、手を振る姿とそれに応えるように頭を揺らす姿が印象的でした。

平田虎舞, 平田青虎会
平田虎舞

尾崎町虎舞

尾崎青友会, 尾崎町虎舞

尾崎町虎舞は、釜石市浜町2丁目(かつての台村)に伝わる虎舞です。今も幟旗などに台村(臺村)連中と書かれています。保持団体は尾崎青友会です。浜っ子らしい威勢の良さが素敵。

尾崎青友会, 尾崎町虎舞
尾崎青友会, 尾崎町虎舞
尾崎青友会, 尾崎町虎舞

こちらも錦町と同じく、虎だけでなく刺鳥舞や龍虎舞といった芸能も受け継いでいるのだそうで、それらしき方々(?)の姿が確認できました。気になる……

尾崎青友会, 尾崎町虎舞

東前太神楽

東前太神楽

釜石で盛んなのは虎舞ばかりではありません。この東前太神楽も海上安全や大漁祈願のため古くから行われてきた芸能です。考えてみれば虎舞と太神楽って態様として結構近いものがありますね。

保存団体である東前青年会は太神楽だけでなく東前七福神(主に子どもたちで構成されるようです)も伝承しているそうで、こちらもいつか観てみたいです。

東前太神楽
東前太神楽
東前太神楽
東前太神楽

これは船が港に戻ってきた後の様子なのですが、多くの人々が詰めかける祭の熱気、そして喜びを爆発させるような東前太神楽のみなさんの様子に、魂を強く揺さぶられました……

東前太神楽

只越虎舞

只越虎舞

鮮やかな大漁旗が目を引くこちらの船は只越虎舞のみなさん。只越虎舞は錦町虎舞から分家する形で昭和20年代に始まったそうです。釜石製鐡所山神社では年行司露払い団体として奉納されています。

只越虎舞

そして只越虎舞の特徴がこの珍しい白虎です。色彩豊かな中で白が逆に映えてめちゃめちゃかっこ良い。

只越虎舞

先頭にいる恵比須様などの面を付けた方々もとても気になります……

只越虎舞
只越虎舞
只越虎舞

南部藩壽松院年行司支配太神楽なんぶはんじゅしょういんねんぎょうじしはいだいかぐら

南部藩壽松院年行司支配太神楽

最後にご紹介するのは、南部藩壽松院年行司支配太神楽のみなさん。尾崎大明神(現在の尾崎神社)の遙拝所建立の際、南部藩御給人佐野家により御神体を安置する六角大神輿が寄進され、そのとき七軒丁(盛岡藩お抱えの芸能集団)から芸を習得し、盛岡竹川稲荷別当の壽松院より御神体を警護する年行司に任ぜられたのが始まり……とのことで、長い歴史をもつとともにこの釜石まつりでも重要な役割をもつ芸能です。なんかもう格式の高さがにじみ出ていました。

南部藩壽松院年行司支配太神楽
南部藩壽松院年行司支配太神楽
南部藩壽松院年行司支配太神楽
南部藩壽松院年行司支配太神楽

年行司太神楽のみなさん、曳き船の後には家々を門付けして回っていました。

夕方からは釜石製鐡所山神社の宵宮祭、翌日も尾崎神社との合同祭、市内目抜き通りでの芸能披露や神輿渡御などさらに盛り上がるのですが、今回観れたのはここまでです。地域の方々の祭に対する並々ならぬ熱量がとても印象的で、ぜひまた訪れたいと思いました。

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