四十四田ダムさくらまつりに行ってきました。ちょうど桜が見頃で、クレストゲート点検放流やダム&発電所見学会などの催しもあってたくさんの人々で賑わっていましたが、お目当てはもちろん川又神楽さんと川前神楽さんの公演です。
午前・午後の2回公演がありましたが午前は所用のため間に合わず、午後の公演の様子をお伝えします。
川又神楽
まず川又神楽さんによる三番叟です。
川又神楽は旧玉山村の川又地域に伝わる山伏神楽で、その起源は明らかではないものの川又の西福院に寛正元年銘(と南部片富士湖ものしり館にある資料に書かれていましたが、他の資料では寛政元年とあり……寛正だとすると1460年で相当古いですけど本当かな??)の姫神嶽大権現や神楽面が現存していることから、その歴史の古さがうかがえます。小野松観音のほか、かつては櫻山神社や高松神社にも奉納されていたとのことです。
昭和30年代の四十四田ダム建設に伴い住民が四散して継承が途絶え、その後昭和55年から60年頃まで一時復活したものの再び中断してしまいました。しかし復活を望む人々の熱意により、平成21年の小野松観音例大祭で23年ぶりの復活を果たしました。現在の舞手は地元の小中学生が中心のようです。
この三番叟ひとつ取っても早池峰系の神楽とはだいぶ違っていて、他の演目も観てみたいなと思いました。旧玉山村の神楽って中々観る機会ないんですよね……
川前神楽
次に川前神楽さんの獅子舞(権現舞)です。
川前神楽は岩手山神社の奉納神楽として滝沢の川前地区に伝わる神楽で、社家により伝承されるいわゆる社風神楽のひとつです。こちらも由来を記した確かな資料は残されていませんが、篠木神楽から習ったといわれており、実際に伝わっている演目など大部分が篠木神楽と共通しています。
この川前神楽も川又神楽と同様、昭和30年代の四十四田ダム建設により集落の人々が離散してしまいましたが、中断の危機を乗り越えて継承され、昭和52年には滝沢村(当時)の無形民俗文化財に指定されるに至りました。
篠木神楽さんと似ていて古雅で素朴な神楽という印象で、やはり県内に多く伝わる山伏神楽とは舞型が異なっています。そしてこの獅子舞、獅子が五人立ちであることや、胎内くぐりが採物などを呑み込んで吐き出すことで表現される点など、普段見慣れている神楽とは違った面白さがあって大変見応えがありました。
というわけで、いずれもダム建設による集落水没という困難を乗り越えてきた2つの神楽ですが、こうして今も伝わる神楽をこの地元で満開の桜を背景に観ることができて感激しました。最後に川前神楽の権現様に頭も噛んでもらえてよかったです。